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総合研究所

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【法務博士は見た!80年前の「家族」!!】東京帝国大学名誉教授・戸田貞三の家族理論「家族員の連帯共同・打算を離れた愛着心にもとづく最大限の援助⇒内的安定⇒対外的対抗力増大⇒立身出世」

 

http://mainichi.jp/articles/20170301/dde/012/010/003000c 

 現代の家族社会学者の間では、家族は「イデオロギー」などと言って否定的に捉えられがちですが、今から80年前の家族社会学者は「家族」についてどのように言っていたのでしょうか?

 東京帝国大学名誉教授・戸田貞三の著書『家族構成』(1937年)(注)から引用してみましょう:

 

 家族員の連帯共同は単にわが国や欧米においてみられるだけではなく、いかなる民族にあっても、夫婦、親子およびその近親者等が感情的に融合して一家族をなしている限り、これらの者はその内においては出来る限り全生活を共にすると同時に、外部の者に対してはあたかも一つのものであるかのごとくなってあらわれるのであるが、この家族員の一体化は家族外における集団生活において互いに対立する人々をその背後より援助しこれを保護する作用となる。すなわち家族員は互いに強き連帯関係を形づくることによって、その一人が家族外の者と対立関係に立つ場合に、その者のために大なる対抗力を提供せんとしている。人々は他の人々と競争対立の関係に立つ場合に、自己の立場を一層有利に導き得るよう種々の方面よりの援助を求めんとしているが、この場合それらの人々のために最大限の援助を与え、利害を離れてそれらの者のために全能力を提供せんとする者はそれらの人々の背後にある家族員である。家族員は互いに相手方に対して内的安定を与え、その慰安と平静回復との源泉となるのみならず、その一人が外部の者と対立する場合には、この一人と進退を共にし、この一人のためにあらゆる努力を提供せんとしている。この家族員の共同による援助はいかなる時代においても人人に大なる対抗力を与え、それらの人々の社会的地位の決定に重大なる影響を及ぼしているが、現代のごとく人々の間に対立競争の激しくなっている時代においてはそれは一層重大なる作用を人々に与えていると考えられる。現代においては人々の社会的地位は表面上それらの人々の能力、それらの人人が社会生活に寄与する程度の大小によって定まるかのごとくみなされているが,しかし事実上定まっている人々の社会的地位はかくのごとき表面上の理由だけによっているのではなくかなり大なる程度において人々が利用し得る背後の援助によることが多い。而してかくのごとき背後の援助として最も有力なるものは家族員の援助である。源、平、藤、橘等の古き事実を挙げるまでもなく,現代人はその周囲において、子の社会的地位のために人に知られぬ労苦を重ねつつある親、親の対外関係のために蔭ながらの努力を払いつつある子、夫の政治的生活のために自らの生活も犠牲にする妻を余りにも多く見聞しつつある。かくのごとき親子、夫婦等の援助は多くの場合外見上人々の視野の外において行われているが故に、ややもすれば外部の者からは軽くみられやすくなっているが、しかしそれは打算を離れた愛着心にもとづく援助であり、援助を受ける者のためのみを目指して提供せられるものである故に、実質的には極めて有力なるものである。かくのごとき有力なる援助を全く無償にて人々に与えこれらの者の対外的対抗力を増大し得るものは、通常人の生活においては家族のみであり、人人は家族において感情的に強く一体化しているが故に、これを背景として、その対外関係においてもその地歩を有利に獲得し得るのである(103-105頁)。【引用終】

 

 いかがですか?戸田は「家族員の連帯共同」、家族員による「打算を離れた愛着心にもとづく最大限の援助」、があるから家族員は「内的安定」を得て「対外的対抗力を増大」させることができ、「その地歩を有利に獲得し得る」、つまり立身出世もできる、と言っています。戸田は家族を肯定的に捉えていて、興味深いですね。これは現代でもたとえば自分の子供を3人とも東大医学部に合格させたり、司法試験に一発合格させたりするためには、かなり使えそうな「家族」理論ではないでしょうか?日頃は大学で「女性は男性の便所・便所からの解放」を唱え、家庭・家族・結婚・愛・母性は全て国家が作り上げた「イデオロギー」で、国家が国民を騙すためのダマシ概念だ、と極端な思想を学生に叩き込んでいる某女性社会学者さんも、案外、自分の家庭では戸田の「家族」理論に依拠して自分の子供に「内的安定」を得せしめ「対外的対抗力を増大」させて東大に合格させるべく、子育てを日々、頑張っているかもしれません。戸田の「家族」理論を、みなさんはどのように思われますか?

 (注)戸田貞三著『家族構成』1937年発行、の1970年復刻版(新泉社)をもとにしています 。