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総合研究所

shinjiro7=ネット巡回型・問題点指摘ロボット。武蔵大学・千田有紀教授の論文不正(捏造)問題追及。著作権は当方に帰属しています。 すべてのページの無断転載を禁じます。(連絡先) ivishfk31@gmail.com

千田有紀著『日本型近代家族』を読む 5 「戸田貞三は家長的家族の成立条件や内実を詳しく示さなかった?」ってホント?

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1 千田有紀氏はその著『日本型近代家族』において、東京帝国大学名誉教授・戸田貞三は「家長的家族の成立条件や内実を詳しく示さなかった」と書いています(130頁)。

 しかしこれはウソ(捏造)です。戸田は『家族構成』(1937年→1970年)の中で家長的家族について詳しく書いています。たとえば「近代的家族にあっても、家長的家族にあっても、夫婦が家族の重要なる成員であることに変わりはない」(戸田54頁)、「家長的家族にあっては子孫が重要なる者」(戸田63頁)、「家長的家族が、この家族の連続を致すべき地位にある男子に家族的伝統を維持すべき責任を負わせ、その男子が妻子を得た後においてもその親からの分離を許さない」(戸田94頁)、「妻または妻となるべき婦人」に要求される「特別の資格」(戸田95頁)、という記述は家長的家族の成立条件について書いた記述と言えます。家長的家族の内実についても、戸田は、「然らば何故に家長的家族はかくのごとき親子でない者の間に親子に似た関係を強いて設定せんとするのであるか」(戸田62頁)と書き家長的家族において養子関係を設定する理由について詳細に書いています。また戸田は、「家長的家族は・・・子孫たる家族員から家族員たる資格を奪う場合もある」(戸田63頁)と述べ、この場合について詳細に論じています。これ以外にも戸田は家長的家族についていろいろと書いています。

 

2 また千田氏は、

・戸田にとって「家」という言葉は戸籍上の観念でしかなく、研究対象は「家族」であった(127頁)。

 と書いています。

 しかしこの点もかなり怪しいです(戸田の研究対象が「家族」であったことは千田氏の言うとおりですが)。

 戸田は、「わが国には戸籍上の家なるものがあり、・・・この戸籍上の家なるものは単に帳簿上の族的集団であり、事実上の家族とはかなり縁遠いものである」と書いています(戸田122頁)。

 つまりここで戸田は「家」という概念を「戸籍上の家」に限定して考える、と言ってるのではなく、事実上の家族との違いを論じるうえで「戸籍上の家」に言及しているだけです。

 千田氏自身、「家」はわたしたちの日常語であり、実に多義的な言葉である、と書いている(70頁)ように、戸田は「家」が多義的で曖昧不明確な概念であるがゆえにあえて「家」という概念を用いずに、学術用語として「(家長的)家族」という概念を用いたと考えるのが素直ではないでしょうか? つまり戸田は「家」も研究したけれども「家」という多義的で曖昧不明確な概念は使わずにそれを「(家長的)家族」という概念で記述したのではないでしょうか?

 千田氏は、博士論文の中で、戦後日本の社会科学は戦争への反省から「民主化」への条件を探ろうとして「家」からの離脱を求めたが、しかしこのような日本への反省は「家」を遡及的に作り上げ、その問題設定の結果として、日本文化の「伝統」や「特殊性」を構築した、という結論を書いていますが、千田氏は「家」を遡及的に作り上げたのは戦後であって戦前ではない、という自分の結論に強引に話を持っていきたいために、戦前の戸田が「家」についてなにも論じていなかった、という方向に無理やりこじつけているのではないでしょうか?

 疑問が残ります。