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総合研究所

shinjiro7=ネット巡回型・問題点指摘ロボット。武蔵大学・千田有紀教授の論文不正(捏造)問題追及。著作権は当方に帰属しています。 すべてのページの無断転載を禁じます。(連絡先) ivishfk31@gmail.com

伊藤和子弁護士・HRN報告書「日本・児童ポルノ規制の実情と課題」の問題点

HRN報告書「日本・児童ポルノ規制の実情と課題」の問題点について以下、検討する。

http://hrn.or.jp/wpHN/wp-content/uploads/2016/09/816a2c96bfe3e04d150cd389b1218c3b.pdf

 

問題点1

3号ポルノ規制は1号・2号ポルノ規制に比べ、文言上、「衣服の・・・一部を着けない」「性器等若しくはその周辺部」という過度に広範な規制をしていること、かつ、「露出され又は強調されている」という漠然不明確な規制であることから憲法21条1項(注※)に違反し違憲無効の疑いがある。違憲無効の疑いがあるからこそ警察はこれまで3号ポルノの逮捕について謙抑的であった可能性がある(実際、本報告書18頁にあるように2015年12月にHRNが警視庁に情報提供を行ったそうであるが、現在まで、誰も検挙されていない)。ところがHRNは3号ポルノ違反について警察は積極的に逮捕していくべきである、という(6頁2(3)参照)。HRNが、憲法違憲無効の疑いがある3号ポルノ規制に基づき積極的に警察に逮捕を働きかけていくということになると「国際人権NGO」が「国際人権侵害NGO」になってしまう危険性が高い。この点、問題である。

 

 (注※)ここでは、HRNが3号ポルノと呼ぶ児童のイメージビデオや着エロを撮影し販売している撮影者や販売者の表現の自由の問題として考えている。

 

 問題点2

 本報告書17頁1-2行目では

「また、このようなビデオが、実際の少女に対する集団レイプや虐待を誘発・奨励することも懸念される」

と書かれている(51頁にも同様の記述がある)。

  HRNは性虐待・レイプを扱ったビデオが、実際の少女に対する集団レイプや虐待を誘発・奨励することについて社会科学的実証データを明示すべきである。これを明示できない以上は、上記懸念はHRNの単なる思い込みに過ぎない、と言われても仕方がないであろう。この点、問題である。

  また本件調査報告書で問題とされているのはあくまで児童ポルノと「疑われる」作品であり、いわば「偽物」の可能性もあるビデオである事実にも注意したい。「偽物」の可能性のあるビデオが実際の少女に対する集団レイプや虐待を誘発・奨励する可能性というのは、可能性としていったい何パーセントなのか。この点HRNはどう考えているのか。

  また「児童ポルノであるかに見える作品の氾濫は児童ポルノ犯罪のハードルを低くする危険性がある」(51頁)との理由でこれを警察が積極的に取り締まっていくべきである、というHRNの主張を認めてしまうと、たとえば本物の殺人が行われたかに見える刑事ドラマや映画といったものも殺人のハードルを低くする危険性があるので放送・発表を一切禁止する、といったことにつながっていく危険性がある。こうなると民主主義社会そのものが崩壊する。

 

問題点3

報告書3ページ「3」について。

警察が悪質な児童ポルノへの取締りを最優先にしていることが原因で、商品として広範に販売されている3号ポルノに関する効果的な取締りが妨げられている、と書かれているが、警察の人的資源の効果的な配分を考えれば、悪質な児童ポルノを最優先に取り締まるのは当然のことで、悪質な児童ポルノの取締りを最優先に行った結果、それよりも軽い3号ポルノ違反の取締りが効果的に行うことができなかったとしてもそれは警察の責任ではないはずである。警察の責任にするのは間違っている。

 

問題点4

現在では次のような高度なCG技術が登場している。

【注意】この女子高生は実在しません。CGのクオリティが現実を超えた | Engadget 日本版

HRNが今回調査した結果発見された、児童ポルノと疑われるDVD映像等の中には、このような画像加工処理技術を用いて、実際は「実在の児童」は出演していないのに「実在の児童」が出演しているように見えるように画像加工処理されている物が含まれている可能性もある。HRNがこの可能性をなんら考慮していないのは問題である。

 

問題点5

本報告書34頁では警察が児童ポルノの取締りを積極的に行わない理由として次のように書かれている(下線部分):

 その背景には「店舗に堂々と販売されている以上、まさか児童ポルノではないであろう」という認識もあるように思われた。

 

しかし、児童ポルノと疑われる商品が店舗に堂々と販売されているから警察がそれをまさか児童ポルノではないと認識し、その結果、取締りを行わなくなる、というHRNの推認は、合理的な事実の推認とは認められない。

たとえば街中で公然と、堂々と、窃盗すれば、「これは堂々とやっているからまさか窃盗ではないに違いない」と警察が認識してくれて、その結果逮捕されなくなるなどという、そんな馬鹿なことはないはずである(もっとも、児童ポルノと疑われる商品が仮に店舗にあったとして、その商品が店舗に堂々と販売されている事実は、販売者に本法違反の故意がないことを推認させる事情の一つとして用いることは可能と思われる)。

 

問題点6

本調査報告書36頁では、「(3) 警察による児童ポルノ、「着エロ」等に関する取り組みの進展」について書かれている。

ここで重要なのは、薄い下着やラップ越しに、性器を映す画像については警察が本法違反として逮捕しているが、性器を映していない画像については逮捕していない、という事実である。

つまり少なくとも現時点では「性器を映したかどうか」が本法違反で逮捕されるか否かの警察の判断基準になっていることが伺われる。

これは警察は、単に児童の性的な部位が「強調されている」(同法2条3項3号)だけの映像では、警察は逮捕しない、という立場であることを意味する。

その理由としては、上記「問題点1」ですでに述べたように児童の性的な部位が「強調されている」映像か否かということは文言として漠然不明確であるため違憲の疑いがあることから警察としても逮捕について人権保障の見地から謙抑的な姿勢を取っている可能性が考えられる。

しかしHRNにはこのような問題意識は全く無いようであり、児童の性的な部位が露出されているものも、単に強調されているだけのものも、すべて含めて警察に取締りを求めているように思われる。たしかに児童の人権保護も大変重要であるが、児童の人権保障のためならなんでも逮捕してよい、というものではない。逮捕される側の人権保障との調和も考慮に入れるべきである。この点を考慮しないHRNには問題がある。