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総合研究所

shinjiro7=ネット巡回型・問題点指摘ロボット。武蔵大学・千田有紀教授の論文不正(捏造)問題追及。著作権は当方に帰属しています。 すべてのページの無断転載を禁じます。(連絡先) ivishfk31@gmail.com

ヒューマンマンライツ・ナウ、伊藤和子弁護士「報告書」の研究1

【1】伊藤和子弁護士の記事

(1)

http://hrn.or.jp/news/6600/

hrn.or.jp

(2)

headlines.yahoo.co.jp

 

【2】問題点

1 伊藤和子弁護士は上記記事(1)において「AV出演被害に対応する法律は存在しない」と言う一方で「違法行為が野放しになっている」と言う。しかし処罰法が存在しないのに違法行為だけが野放し、とはいったいどういう意味であろうか?罪刑法定主義はどこに行ってしまったのか?女性の人権保障も大事であるが法律家は論理的整合性のある、矛盾のない主張を展開すべきである。

 ちなみに6月12日に次のような事件の報道があった。

大手AVプロ元社長逮捕 労働者派遣法違反容疑 女性「出演強要された」産経新聞 6月12日(日) - 松浦総合研究所

 これなども、AV出演被害に対応する法律が存在するからAVプロダクション社長が逮捕されたのであって、AV出演被害に対応する法律が存在しなければ逮捕はできないはずなのである。 

 

2 現行法上、強要罪、脅迫罪、暴行罪、強姦罪等の犯罪が刑法で定められているにもかかわらず「AV出演被害に対応する法律は存在しない」と嘘を言って、国内法で対処できないから国連に報告だ、という伊藤和子弁護士の用いた今回の手法は法律家としては大いに問題がある。法律家は虚偽の法律知識を社会に広めてはいけない。

 もし伊藤和子弁護士が「強要罪という犯罪は刑法で定められているけれども強要罪はAV被害者を守るために効果的ではない」と言うのであればスーッと理解できる。しかし彼女の言い方はぜんぜん違う。彼女は「法律が存在しない」と言う。両者は日本語として意味が全く異なる。法律家は言葉と論理が「売り」なのであるから、言葉と論理をもっと磨いてほしい。

 

3 伊藤和子弁護士は「AV出演強要被害」という表現を繰り返し用いる一方で、刑法上の「強要罪」(刑法223条)には一切言及しないことも法律家として問題である。AV出演を「強要」された女性が多数おり、しかもそれが「野放し」になっている、と主張するのであれば、当該行為の、強要罪の構成要件該当性をまず検討するのが法律家のなすべき仕事であって、そういう法解釈の作業をせずに「AV出演被害に対応する法律は存在しない」と虚偽の事実を国連に報告し、国連を振り向かせて騒ぎを国際的に大きくしてしまいさえすればもうこっちのもんだ、と言わんばかりのやり方は法律家として問題だ。

 

4 また伊藤和子弁護士は上記HPの記事(1)(http://hrn.or.jp/news/6600/)で

 AV出演は、職業安定法、労働者派遣法上の「有害業務」とされ、プロダクションが雇用する女優を勧誘することは職業安定法上の処罰対象となり、プロダクションが雇用する女優をメーカーに派遣して撮影に応じさせることは派遣法違反として処罰対象になります。

 しかし、業者は、巧みに女性との契約を労働契約でなく「委任」「委託」などの契約にしてしまい、実際には指揮命令関係があるのに、あくまでそれがないかのように装い、法の適用を免れています。

と述べている。この点も問題である。

 まず、AV出演は、職業安定法、労働者派遣法上の「有害業務」とされている、というのは本当だろうか。

 職業安定法63条2号、労働者派遣法58条は「公衆道徳上有害な業務に就かせる目的」で職業紹介、労働者派遣等をした者を処罰する旨規定しているが、これらの法律には、「AV出演は有害業務である」旨、定めた明文規定は存在しない。明文規定が存在しないにもかかわらず、上記記事では、あたかも「AV出演は有害業務である」旨、定めた明文規定が存在するかのような書き方をしているのは問題である。法律家ともあろう者がこのような法律的に虚偽の、間違った記述をするのは問題である。もし正確に書くとすれば「AV出演は、判例上、職業安定法、労働者派遣法上の『有害業務』と認定された事例もあり、」云々、と書くべきである。やはり法律家は言葉と論理が「売り」なのであるから、言葉と論理をもっと磨いてほしい。

 

5 さらにまた伊藤和子弁護士は上記記事(1)http://hrn.or.jp/news/6600/ において「AV業界を撲滅したいと考えているわけではない。」と言う。

 しかし、報告書のタイトルは

日本:強要されるアダルトビデオ撮影 ポルノ・アダルトビデオ産業が生み出す、 女性・少女に対する人権侵害 調査報告書

となっており、あたかも「ポルノ・アダルトビデオ産業」全体が、広く一般的に、女性・少女にアダルトビデオ撮影を強要し、日常的に人権侵害を行っているかのような印象を与えるタイトルになっている。タイトルの主語は「ポルノ・アダルトビデオ産業が」という一般化された主語になっており、「ポルノ・アダルトビデオ産業の一部が」というような限定的な主語にはなっていない。この事実からすると、伊藤和子弁護士はAV業界全体を撲滅する意図がない、とは必ずしもいえないように思われる。

 

 6 上記記事(2)において伊藤和子弁護士は、AV出演被害が「女性に対する暴力」であると国が認めたことを評価する旨述べているが、現行法上の強要罪にも暴行罪にも強姦罪にも該当しない(注)女性に対する「暴力」とは法律上いったいなにを意味するのであろうか?法律家としてあまりにも言語不明瞭である。やはり法律家は言葉と論理が「売り」なのであるから、言葉と論理をもっと磨いてほしい。

 

7  伊藤和子弁護士は、AV出演被害に対応する法律が存在しない、との理由で新しい法律を制定することを考えているようだが、刑法上の強要罪のような非常にシンプルな構造の条文ですら、AV出演被害に遭った女性を救済するには不充分であって、伊藤弁護士によれば「法律が存在しない」と言われてしまうありさまであったことを考えれば、強要罪よりももっと複雑な構造の「新法」なるものを伊藤弁護士の運動によって制定してみたところで、それが果たして被害女性の救済にとって司法の場で有効に機能するのかどうかは疑問である。この点も伊藤和子弁護士は緻密に論証すべきであろう。

 

8 最後に

 男女の本質的平等と個人の尊重を基本理念とする日本国憲法秩序の下で、女性の基本的人権が保障されるべきことは改めて言うまでもないことであるが、いくら女性の基本的人権を守るためであるからと言っても、弁護士の肩書きと社会的信用性を利用し、論理的に整合性を欠いた主張や矛盾した主張を行ったり、虚偽の法律知識を全世界に向けて拡散したり、さらには、誤解を招く一般的なタイトルをつけた報告書を全世界に向けて流布させたりしてよい、ということにはならない。嘘をついて国連を騙して国連を動かして、騒ぎを大きくしてしまいさえすればもうこっちのものだ、といわんばかりの伊藤和子弁護士のやり方には、到底、賛成できない。いかに目的として女性の人権保障という崇高な目的を掲げていても、その目的達成手段としてこのような汚い、ダーティなやり方をしてしまうと、結局、女性の人権保障や社会的地位の向上に結びつかないように思われる。 以上

 

 

(注) というより伊藤和子弁護士に言わせればそもそもこれらの犯罪類型そのものが「法律上存在しない」ことになるのだが。