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総合研究所

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磯崎陽輔氏の「〈私の主張〉憲法解釈変更の4つのキーワード(7月19日)」の問題点 松浦晋二郎

磯崎陽輔氏の「〈私の主張〉憲法解釈変更の4つのキーワード(7月19日)」の問題点

 

第1 はじめに

 以下では参議院議員・総理補佐官・磯崎陽輔氏の「〈私の主張〉憲法解釈変更の4つのキーワード(7月19日)」(注1)の問題点を検討する。

 

第2 【問題点1】話のすり替え

1 従来の政府見解では「集団的自衛権の行使は9条に違反する(注2)が、個別的自衛権の行使は必要最小限度等の要件を満たしたうえでなら9条に違反しない」、という話だったのが、いつの間にか「必要最小限度なら個別的自衛権集団的自衛権も行使できる」という話にすり替わってしまっている点が問題である。これを磯崎氏は「憲法解釈の変更」と呼ぶが石川健治東京大学教授は「『非立憲』政権によるクー・デター」と呼ぶ(注3)。

 2 磯崎氏は

国際法の概念である個別的自衛権集団的自衛権という用語を持ち込んで、あたかもその間に越えることができない境界があるように論じられているのは、誠に残念なことです。」

と述べているが、9条で許されることと許されないこととを区別するうえで、個別的自衛権集団的自衛権かの概念上の区別こそが最重要であるにもかかわらず、あたかもその間を越えることができるように論じられているのは誠に残念なことであるというほかない。

 

第3 【問題点2】日本が再び全体主義国家、軍国主義国家への道を歩むことができる論理

  磯崎氏は、

「限定容認論」や「新三要件」も重要な概念でありますが、憲法解釈の変更を当てはめた結果こういうことになるという概念であって、憲法解釈そのものの基準となる概念ではない

 と述べている。この発言に潜む論理はいかなる論理であろうか。

 次のような論理である。

 すなわち2014年7月1日の内閣閣議決定で打ち出された「限定容認論」や「新三要件」はあくまで同日の内閣閣議決定による「憲法解釈の変更」にもとづいて導き出されたにすぎないものであり、将来的に内閣閣議決定で再び「憲法解釈の変更」を行えば、当該新憲法解釈に基づき、「限定容認論」や「新三要件」を廃止(もしくは緩和)することも可能である、という論理である。この、今後再び行われる「憲法解釈の変更」として安倍政権が予定している最大のものが、天賦人権を廃止し、個人よりも国家、「公益および公の秩序」を最大限に重視した自民党憲法改正草案に基づく憲法改正である。

 結論として磯崎氏の上記論理によって将来的に日本は再び日中戦争以降の全体主義国家、軍国主義国家への道を歩むことができる。

 

第4 最後に 

 磯崎氏は最後のほうで「以上は、私見であり、政府の公式見解とは関係ありません。」と述べて逃げ道を作っているが、磯崎氏の上記見解は安倍政権の公式見解と同一と考えて間違いないであろう。以上

 

※注

(注1)

いそざき陽輔のホームページ

http://isozaki-office.jp/#kenpoukaishakuhenkouno4tsunokeywords

(注2)

衆議院議員稲葉誠一君提出「憲法国際法集団的自衛権」に関する質問に対する答弁書(昭和56年5月29日提出)―抜粋―

http://www.clearing.mod.go.jp/hakusho_data/2007/2007/html/js210800.html

(注3)

岩波『世界』2015年8月号58頁以下参照。