読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

総合研究所

shinjiro7=ネット巡回型・問題点指摘ロボット。著作権は当方に帰属しています。 すべてのページの無断転載を禁じます。(連絡先) ivishfk31@gmail.com

三浦瑠麗氏「安保法制(5)―パーセプション・ゲームの功罪」を読んで

 

第1 はじめに

1 三浦瑠麗氏のブログ記事「安保法制(5)―パーセプション・ゲームの功罪」を読んだ感想を以下、述べる。

http://lullymiura.hatenadiary.jp/entry/2015/07/12/162356

2 三浦瑠麗氏の政治的立場の特徴は、自民党完全支持(=完全な対米従属、頭の中は「星条旗」)、日本国憲法無視、老若男女を問わない徴兵制(注1)、他人事、である。

 以下、具体的に見ていくこととする。

 

第2 三浦瑠麗氏の日本国憲法無視の態度

 三浦瑠麗氏はブログで次のように述べている。

 

「今回の安保法制は、戦後日本の安全保障論議の伝統にのっとり、極めて政治的な展開を見せています。本来であれば、安全保障をめぐる外的環境の変化があり、その対処に向けた必要十分な法的手当てを論議するというものですから、比較的技術的な論争が展開されるはずです。ところが、実際には憲法秩序をめぐる問題、ひいては国家のアイデンティティーをめぐる問題へと変質しています。」

 

 三浦瑠麗氏のこの書き方は、まるで国会で集団的自衛権憲法適合性の議論をしてはいけないかのような言い方である。「本来であれば安全保障をめぐる比較的技術的な論争が展開されるはずだったのに、憲法ごときのくだらない議論に延々、時間を浪費しやがって」、という発想である。このようなことを冒頭から書き始める三浦瑠麗氏は相変わらず憲法の重要性を全く理解していないことが丸わかりである。

 三浦氏には、日本が集団的自衛権を行使することが憲法に違反するかしないか、という憲法適合性の問題が、将来的に日本が戦争に巻き込まれれば、三浦氏自身と、三浦氏の夫や子供の生命身体の安全にも関わる重要な事柄であるという問題意識が根本的に欠けている。もし三浦氏が、集団的自衛権憲法適合性の問題は自分の家族の生命身体の安全にも関わる重要な問題である、という問題意識を持っていれば上記のような言葉が出てくるはずがない。

 この点、岡口基一東京高裁裁判官は7月13日のツイートで次のように述べている。

 

「ルール無きエゴむき出しの国際社会で,イラク戦争のような間違った戦争に直接参加せずに済んだのは『切り札』を持っていたから。その大事な『切り札』を破り捨てられてしまい,残された若者達哀れ」

 

 岡口基一裁判官の言う、国民がアメリカの言いなりになって戦争に駆り出されないようにするための『切り札』としての憲法9条がいままさに安倍政権によって破り捨てられようとしているからこそ、国民が連日、デモを行うなどして安倍政権に反対し、国会でも連日、集団的自衛権憲法適合性について議論しているわけである。ところが三浦氏のように頭の中が完全にアメリカ合衆国星条旗で一杯になっている人間にはこうした考えはおよそ出てこないらしいのである。

 三浦氏はまた「どんな形であれ、集団的自衛権を認めさせることで、米軍との共同訓練も可能になるし、有事への備えもより現実的に行えるという側面があるのです。」と述べており日本国憲法完全無視である。

「どんな形であれ、集団的自衛権を認めさせる」・・・これが東京大学の研究員の発想であるというのは驚くほかない。

 

第3 国会の徴兵制をめぐる議論を「根拠が不明確な徴兵論」という三浦瑠麗

 

1 三浦氏はまた、次のように言う。

 

「今回、野党第1党と第2党が共同提出に至ったことは、民主党が一度政権を担当したことの良い影響だろうと思います。すくなくとも、安保法制をめぐる議論が違憲論に終始し、あるいは根拠が不明確な徴兵論に時間を費やすよりはよほど建設的です。」

 

 三浦氏は自分自身、「老若男女を問わない徴兵制」(注1)を主張して徴兵制の根拠付けを積極的にしておきながら、国会の徴兵制の議論については「根拠が不明確な徴兵論」などといってのけてしまうあたりは、よくこんなことが言えるものだと、感心する。自民党の総裁賞まで受賞した経歴を持つ東京大学・政策ビジョン研究センターの研究員・三浦氏(注2)が「老若男女を問わない徴兵制」を主張しているのであるから、この主張が安倍政権の目に止まり安倍政権徴兵制を真剣に考える危険性は充分にある。もしかしたらすでに安倍政権の目に止まっているかもしれない。

2 安全保障関連法の成立後に待っているものは、個人よりも、国家、「公益および公の秩序」(自民党憲法改正草案13条)を最大限に重視する自民党憲法改正草案による憲法改正であり、改正後のこの新憲法のもとでは「公益および公の秩序」を理由に個人の権利自由を大幅に制限することが可能であることから、徴兵制の導入も充分可能な規定ぶりになっている。そして特定秘密保護法マイナンバー法憲法についての政府の恣意的解釈態度、は全体主義国家へのベクトルを示している。さらにホワイトカラー・エグゼンプション労働者派遣法改悪による派遣労働者の低賃金不安定労働者化、多額の奨学金債務に苦しむ学生の増加、といった、大企業の利益だけを最優先し、憲法の「基本的人権の尊重」の理念に反する「人間をモノ同然に扱う」非人間的な政治。こうした現在日本の政治状況からすれば、国会の徴兵制をめぐる議論は「根拠が不明確な徴兵論」であるとは決して言うことができないはずであり、「あの安倍政権ならきっと徴兵制を考えているだろう」と考えるのが合理的な推認というものであろう。

 

 

(注1)http://hon.bunshun.jp/articles/-/2668

「老若男女を問わない徴兵制」を主張する三浦氏であるが、三浦氏は東京大学・政策ビジョン研究センターの研究員であるし、過去には自民党の総裁賞ももらった人間でもあるし(注2)、夫は外務省の職員である(注2)。おそらく「自分たちの家族は一家全員、国家有為の人材だから、徴兵制で戦争に行かされることは絶対にない。自分ら家族だけは絶対大丈夫。でもあいつらなら別に死んでもいいや」、という大前提が三浦氏にはあるのだろう。全部、「他人事」なのである。

 

(注2)三浦氏のウィキペディアには次のように書かれている:

2003年(平成15年)、同じ大学の先輩の外務省職員男性と結婚。

2004年(平成16年)1月、論文「『日本の国際貢献のあり方』を考える」により、自由民主党が主催した第1回「国際政治・外交論文コンテスト」の総裁賞を受賞。